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ホルムズ海峡でのタンカー被害の報道とイランの関与の示唆、 米軍ドローン(武装型)の迎撃の報道など怖い情勢になっています。
それをきっかけに古い映画ですが「シリアナ」のレビュー記事です。
Rev3
加筆修正してます。
邦題「シリアナ」 / 原作 "See No Evil"
まずこの映画、わかりにくいです。
複雑な中東情勢と石油利権だけでなく、スパイ、外交、軍事行動、 テロリストと武器供給、そして人が人を操る手法など多岐に渡る内容です。
- 初見で見て内容を把握できる方は相当な頭脳と知識をお持ちでしょう。
- 何回か観てやっとどういうことを主張したがっているのかわかる感じです。
- 派手なアクションや爽快な視聴という作品ではないです。
言い方を変えると「興味深く面白い」けど「娯楽映画ではない」ものです。
映画としてのでき
2005年アカデミー賞で助演男優賞受賞作品です。
Note
これはsumikko.tokyoのただの憶測ですが、 内容が内容だけにあまり目立つ賞を受賞できない 大人の事情があったのでしょう。
撮影、演技、演出、音楽などどれをとっても完成度は高いものです。
撮影・ロケハン
世界各国に渡り、どれも素晴らしいです。
内容はメッセージ性のある重い作品ですが、映像だけでも楽しめます。
演技・演出
スパイやテロリストといった内容が一つの軸になります。
ただ演出も演技も「映画としては控えめ」でこの作品ではそれがむしろよいです。
音楽・効果音
静かな美しい音楽が全編通して流れます。
音量を気にする必要のある場面は少なく、 あくまで自然な感じの会話場面や背景音という印象です。
視聴者
高校生以下は避けたほうがよいです。暴力的表現もありますし、 なによりわからないか誤解してしまうでしょう。
大人が時間と余裕のあるときに視聴する作品と思います。
- 油田開発や石油企業とアラブ王族について興味がないならほぼ楽しめません。
- 司法や企業合併について興味がないなら多分楽しめません。
要するに「万人受けしない映画」です。
映画の内容について(ネタバレなし)
「友人を失いたくなければ政治と宗教の話をするな」
—出典元不明
この映画は「完全に政治と宗教のからんだ内容」です。
よほどの信頼や仲の深く相互理解のある方以外とは 話題にしないほうがいいと思います。
- 内容はもちろん「演出」されている「フィクション」です。
- 「真相・真犯人は分からない」というメッセージをもっていると思います。
- ニュースや各国外交を知っても「真相がわかる」わけではないと思えます。
映画の舞台、登場人物は転々とします。 あえてそういう構成になっているのでしょう。
何度も観ていると優れた構成と感じますが、 初見ではわかりにくいです。
内容についてはあえてこれ以上触れません。
Attention!
ストリーミングやレンタルで一回観てみるくらいなら観ないほうがよいです。
ブルーレイなどを購入された上で何度か一人で観てみるべき作品と思います。
映画視聴に関連する背景など
レビュー記事といっておきながら大したレビューはできません。
事前に知っておいたほうがよい情報を列挙します。真実かどうかは不明です。
ホルムズ海峡
- 地政学的に石油タンカーが多く通るホルムズ海峡は本質的に危険水域です。
- アラブ首長国連邦UAE、オマーン、イランがせめぎ合っています。
- 近隣公海上に他国軍艦隊や潜水艦が展開するのは不思議ではないでしょう。
アラブ諸国の多様性について
- アラブは多様です。
- 今回のイランでいうとまず言葉がまるで違います。
- 別の例) タリバンとムジャヒディーンの比較。
- 多数の戦争が繰り返されてきた地域であり、秩序を前提とするのはよくないでしょう。
- 要するに「日本人の大多数にとって理解できる領域ではない」と思われます。
- 映画の上で知っておくべき名前:イラン、レバノン、ヒズボラ、ハマスなど。
アフガニスタンでの過去の戦争について
- アメリカ製の携帯地対空ミサイルが(英国諜報部経由で)現地に渡ったという話はあります。
- 戦車の10cm以上の装甲板を貫通すらする威力と言われています。
- 武器供給元やその経路はおそらく当事者すら全容は把握できないでしょう。
軍事ドローンについて
- 偵察だけでなく、誘導ミサイルを搭載できる武装型もあります。
- 2019年6月にホルムズ海峡で迎撃されたドローンは武装型と言われています。
- 武装型でなくても、精密誘導目的の偵察ドローンは軍事的に明らかな脅威です。
- イラン領空内外での迎撃かどうかはイランと米国で主張が異なります。
- 逆に言えば軍事ドローンが迎撃されたことは否定されていません。
- 運用していた米軍当局にはドローンの正確な位置は把握できていたはずです。
- ただ軍事機密上、領空外での迎撃を正当化する材料にはできないでしょう。
タンカー被害と潜水艦について
- タンカー攻撃は「魚雷ではなく機雷」だったと言われています。
- 「機雷」は大雑把に「海の地雷」です。
- 「問題の機雷」が「いつどこに誰によって設置されたか」は不明です。
- 「兵器の国籍」≠「使用した国家」です。軍同士で敵兵器を鹵獲するのは常態です。
- いずれにせよ潜水艦の関与も検討に入ります。
- 史上最強のステルス兵器の筆頭は潜水艦です。戦闘機や爆撃機ではなく。
- 潜水艦なら各国軍当局にすら真相が不明な可能性があります。
- 潜水艦関与ならどこの国のどの兵器かわかったとしても公開されないでしょう。
まとめ
映画「シリアナ」は「娯楽映画ではなくわかりにくい映画」ですが「衝撃的」です。
- 仮にご覧になって全容が把握できていると仮定します。
- それが(映画の世界設定の中で)どう報道されうるか考えてみれば、 非常に断片的で、報道機関により内容は異なりうることは想像に難くありません。
- そしてそれらの「報道」をすべて公平かつ客観的に評価しても、全容はわからないでしょう。
ご注意
視聴して「誰がわるい」とか「あの国が悪い」とか思うべきではないでしょう。
- わたしたち日本人はほぼ全員が「原油の安定供給」による生活を享受しています。
- わたしたちはニュースなどで知ったつもりにはなれますが、実際は不明です。
- 国家が絡んだ、特に外交や軍事に関することは個人がわかりっこないです。
- つまりこのレビュー記事に記載していることも、真実性は乏しいと断言します。
そういう印象の衝撃作品と言えます。
あえておすすめはしません。
ご興味と時間と余裕のある場合にのみご検討ください。