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CPU アンダークロック まとめ

アンダークロックについて記事にして 1 年経ちました。

大幅に記事を修正しようと思いましたが 過去の記事はできるだけそのままで、 新規にまとめとして目的と方法、 注意点を書き起こすことにしました。

また M/B の冷却や放射温度計による測定 についても追記しています。

Rev 2020-03-27

新規に書き起こした温度目標値は冬場の室内温度を基準にしていたため、 これからの季節に向けて冬場と夏場で大雑把に分けました。

アンダークロック自体の詳細は 過去のアンダークロック記事 をご覧ください。

一連の記事を前後関係でリンクもしています。

そもそものアンダークロックの目的

PC は数ワットのアイドル状態と数十〜数百ワットの 高負荷状態を行ったり来たりします。

アイドル状態では発熱も消費電力も微々たるものですが、 高負荷では性能相応に上昇します。

またそれらの状態遷移での電力要求は高性能な構成ほど高くなります。

  • まず第一に「温度による製品寿命の短縮」を最小限にしたい。
  • 電力需要の変動幅を小さくして動作不安定性を最小限にしたい。

大雑把にこの二つが sumikko.tokyo におけるアンダークロックの目的です。

M.2 SSD/NVMe の冷却

大抵の M.2 スロットは CPU の隣に位置しているものが多いです。 とはいえサイドフローだったり M.2 カード別途利用していたりなど、 いろいろな状況が想定されるので一概にはいいにくいです。

とにもかくにも「ヒートシンク装着」かつ「エアフローがある」 のが M.2 冷却において重視すべきところだと思います。

アンダークロックの効果

製品にもよるしアンダークロックの程度にもよりますが、 少なくとも温度に関してはかなり低減を期待できます。

消費電力に関しては用途と性能次第です。 アンダークロックしていても常時高負荷で高性能な PC なら、 それに応じた消費電力であることに違いはありません。

ワットチェッカーですべての個体で検証したわけではないので 正確なことは言えませんが 「発熱が相応に低下している ≒ 電力もそれなりに低下している」と思われます。

Intel and/or AMD CPU の大雑把なアンダークロックの方法

メジャーブランドのマザーボード (M/B) を中心に色々試してきた結果、 概ね次の方針を sumikko.tokyo では採用するに至りました。

対象は主に Intel Core の iGPU 利用マシン

後述しますが dGPU を用いると結構なアイドル消費電力増になるためです。

  • PC の大半の時間はアイドル状態で Intel CPU なら 800 MHz、 AMD CPU では 1.6 GHz 付近でゆったり稼働しています。
  • 必要に応じて本来の周波数で動作し、終わるとまたアイドルに遷移します。

つまりアイドル状態での消費電力増加はトータルで長期間で評価すると 馬鹿にならないし、M/B と PSU へはその分の負担と変性劣化が増えるわけです。

なので Intel Core SKU の iGPU を基本とします。

Attention!

Intel Core の iGPU (UHD Graphics) は 一部では非力と言われていますし 3D 性能は確かにそうですが、 BIOS で shared memory を 1 GB まで増やせば 大概の動画再生やちょっとしたゲームくらいは 問題なく動きます。

ただ DIY 用 M/B を含め、ほとんどの BIOS では最小設定です。

  • 市販ノート PC などでも多くが BIOS 設定で増量できます。
  • その分 OS が利用できる DRAM 領域は減ります。
    • ただ DRAM 総量が 8 GB 以上あれば問題ないです。
    • 4 GB 以下だと Windows 10 の場合は注意です。

よって Intel iGPU を shared memory 1 GB 増量で運用となります。

Note

AMD Ryzen APU は標準で 1 GB を 内蔵 Vega 用途に割いてます。

dGPU の場合の注意点

あまり dGPU をビデオ表示に用いていることがないので 深く言及はできませんが、数点挙げます。

  • NVidia にせよ AMD にせよ迂闊に買うと GPU カードだけでアイドル時でも 30 W など消費し続けます
    • GeForce GT 1030 など一部カードのみが アイドル時 5 W 付近で動きます。
  • 補助電源不要の GPU でも 15 〜 20 W 消費し続けるものが多い印象。

つまり Intel iGPU で動作させる場合より消費電力が高めです。

  • Intel Core iGPU 構成 でストレージ NVMe 単体の場合、 大体 Windows も GNU/Linux も 10 〜 15 W でアイドル時消費します。
    • パーツを注意深く選択し、設定を切り詰めていけば 6 W 程度までいけます。
  • dGPU を用いると常時 5 〜 30 W 増すイメージです。

3D 性能や GPGPU 性能を求めないなら、うかつに dGPU を搭載するより、 Intel Core iGPU の設定を調整するほうがリーズナブルと考えています。

AMD Ryzen を用いた構成をあまり採用していないのもこれにつきます。

使うとして Ryzen APU をアンダークロックというわけです。

対象マザーボードについて

大原則として国内流通がいい ASUS、ASRock、MSI を基本としています。

GIGABYTE は増えてきていますが、ちょっとまだ Intel 系には微妙な印象。

  • アンダークロックの設定方法と可否は M/B 次第です。
  • 同じベンダーでも製品によって BIOS は微妙に異なります
    • 安いボードほど設定項目が減るくらいに思っていいです。
    • また安いボードほど電解コンデンサーやチョークコイルなどの 数も質も低下します。

対象とする M/B は、

  1. Intel デスクトップ SKU (主に Core 系) と AMD Ryzen 系用 M/B
    • Intel Apollo Lake などの SoC や モバイル SKU は除外します。
    • NUC (ほぼモバイル SKU 搭載) や各社のベアボーンは対象外です。
  2. ベンダーとしては ASUS、ASRock、MSI の 3 社を原則に。
    • GIGABYTE はいずれ試したいものの予定は当面ありません。
    • Supermicro の PC 向けはあえて選ぶ理由が見いだせませんでした。
    • EVGA は興味深いものの国内流通のなさで対象外です。
    • BIOSTAR は故障スペア用廉価版と割り切っているので対象外です。

市販のデスクトップやノートパソコンも原則対象外 です。

一部ゲーミング PC などでは設定可能かも知れませんが、 sumikko.tokyo ではそれらは調達していませんし予定もありません。

CPU 設定例のための仮想 SKU の定義

Intel Core と AMD Ryzen だけでも多量の SKU があります。

特に Boost の有無で方針が変わるため、個別に網羅すると莫大です。

なので 仮想の CPU を前提として Intel Core と AMD Ryzen のアンダークロック方針を曖昧に記載します。

前提とする CPU の設定は次の通り。

  • ベース周波数 3.4 GHz。
  • Boost 周波数は最大で 3.8 GHz。
  • 4 コアで SMT なし。
各種条件 仮想 amd64 CPU (4 コア SMT なし Boost あり)
ベース周波数 3.4 GHz (コアレシオ 34 相当 @ BCLK 100 MHz)
Boost 範囲 上限 1 〜 4 コア負荷時の順で [38, 37, 37, 36]
Boost 1 コア 3.8 GHz が最大 (電源も冷却も十分な場合)
Boost 2 コア 3.7 GHz が最大 (以下同様)
Boost 3 コア 3.7 GHz が最大
Boost 4 コア 3.6 GHz が最大

Boost 周波数の表記は 「1 コアのみ負荷で冷却・電力十分な場合の最大値」が大半です。

  • その数値は持続する保証はありません。
  • 負荷のかかっているコア数が増えるほど、Boost 周波数は下がります。

Attention!

上の例だと Boost 1 コア のコアレシオ 38 での 3.8 GHz 動作が 大体製品に記載されているだけと思ってください。

複数コア負荷での減少や冷却・電源不十分な場合の 低下が製品紹介欄に記載されていることは少ないです。

アンダークロック基本戦略

Boost の上限コアレシオを Per Core で低下させるのが基本です。

  • 1 〜 4 コア負荷時の上限を 段階的に下げます
  • シングルスレッド性能を維持するため 1 コア負荷では高めにします。
  • 低消費電力・低発熱のため、複数コア負荷時の上限は厳し目に下げます。

K などのアンロック CPU や AMD Ryzen では戦略は複数になります。

  • ベース周波数の高い個体を選びます。
  • Sync All Core で全コアの最大動作周波数を下げます。

方法は他にもありもとの記事には色々書きましたが、 設定の簡易さと失敗時のリスク回避から今はこれらに限定します。

Attention!

電圧は BIOS 任せです。手動では下げません。

コアレシオの注意点

32 とある場合は Intel 系ならそのままのコアレシオ値です。

ただし AMD Ryzen ではコアレシオの設定は異なります

  • AMD Ryzen では掛け算・割り算の係数を設定します。
  • BCLK も異なり Intel では 100 MHz に対して AMD Ryzen では 200 MHz です。

ただ BIOS 画面が計算結果の周波数をだいたい表示してくれます。

  • AMD CBS / Zen / Pstate0 / FID と DID を操作します。
    • FID を DID で割って 200 MHz 倍すると動作周波数です。
    • FID と DID は 16 進数で設定することが多いです。
  • VID は電圧をいじってしまうので 変更しません

AMD CBS の他に M/B ベンダーモードもありますが、 ややこしいし検証できていないので対象外とします。

電圧関連の注意点

Warning

再三ですが、電圧は M/B BIOS の 自動まかせ です。

CPU Vcc ネガティブオフセットを手動では設定しません

BIOS の電気関連の設定は AUTO 一択です。

その他の注意点

  • BCLK も変更しません。
    • Intel なら 100 MHz のまま、AMD なら 200 MHz のままです。
  • SMT (Hyper Threading など)は Off です。
    • sumikko.tokyo は SMT はもはや負の遺産とみなしています。
  • AVX のような拡張命令は実行時にかなりの消費電力と発熱を伴います。
    • 基本的に AVX オフセット -4 〜 -6 などで 400 〜 600 MHz アンダークロックします。
      • AVX オフセットは オーバークロックにならないよう正負に注意 しましょう。
      • M/B BIOS 画面で AVX Negative Offset なら 4 〜 6 というわけです。
    • 科学計算目的のマシンなら、あまり下げずに冷却に力を入れるほうがよいです。

Intel の Boost はアンダークロックに便利

以上の設定方針に落ち着くにつれ、 Intel の Boost はアンダークロックではとても便利でした。

ベース周波数が低めで Boost 高周波数の SKU は シングルスレッド性能を落とさずに高負荷時に低発熱低消費に 設定しやすいです。

  • Boost あり Intel Core SKU
    • コアレシオ Per Core で ベース 〜 Boost 上限範囲で設定可能。
    • シングルコア負荷では高めの性能、 マルチコア負荷では性能は落とすものの低発熱に設定しやすい。
  • Boost なし Intel Core SKU
    • コアレシオ All Core でしかアンダークロックできない(多分)。
    • シングルスレッド性能を高めにしつつ フルロードでの低消費電力・低発熱には調整がしにくい。

Note

残念ながら Ryzen の Boost は ON にしたままでは アンダークロックしても消費電力と発熱がそれなりに高めです。

大雑把な温度と電力消費の目標

アンダークロックの目的は sumikko.tokyo では「製品寿命を安定させる」こと。

精密電子機器である PC において、これは大雑把に「温度を下げる」ことになります。

  • 大雑把にいって「40 ℃ が一つの上限値」とします。
  • ただ性能を下げすぎて日常でフラストレーションになるのも本末転倒です。

どの程度アンダークロックするのかは CPU やエンクロージャーや冷却系によって 異なってきます。そこで大雑把な指針として採用しているのが以下です。

Attention!

室温は最大でも 28 ℃ とします。

ヒトもコンピューターも高温多湿では不快です。

特殊な SoC ボードや密閉型エンクロージャーの製品(ファンレスなど)は この記事の対象外です。

Warning

Tjunction 設定値などの超高温をベースに考える方もいます。

そういう方の温度設計だと性能重視などで 60 ℃ は低い感覚だったりするようですが、 問題なのは CPU の温度だけでなく、 様々な電子部品のトータルの温度だと考えています。

よって sumikko.tokyo での温度基準は多分厳し目です。

温度と電力関連の細かい目安

細かく言うと以下の通りです。

  1. BIOS 画面での情報
    • 起動してだいたい 5 分くらい経過したときの平衡に達した温度で評価します。
    • CPU 温度
      • 冬場:室温 + 10 〜 20 ℃ 未満かつ 40 ℃ 未満
      • 夏場:室温 + 10 〜 20 ℃ 未満かつ 45 ℃ 未満
    • CPU Vcore :大体 1.0 〜 1.1 V (手動で下げない前提)
  2. Microsoft Windows 10 や GNU/Linux (kernel 4.9 以降) での評価
    • 起動してから 5 分くらい経ったアイドル状態で評価します。
      • Windows 10 は遅延起動サービスなどがあるので、 タスクマネージャーから CPU 使用率が下がりクロックも下がった状態で 評価します。
      • いずれも一時的にネットワークから隔離すると手早いです。
    • CPU 温度
      • 冬場:室温 + 5 〜 10 ℃ 未満かつ 30 ℃ 未満
      • 夏場:室温 + 5 〜 10 ℃ 未満かつ 35 ℃ 未満
    • 負荷をかけたときの指標 (stress などツール利用かゲーム中など)
      • 季節を問わず理想的には大雑把は 40 〜 45 ℃ 未満が理想。
      • 4 コアまでなら全コア負荷で 60 ℃ 未満(理想的には 40 ℃ 未満)
  3. 放射温度計による計測
    • CPU 周囲のコンデンサー・チョークコイル・VRM 温度
      • アクリルパネルなどでない限り開放している状態なので やや厳し目の数値にしています
      • BIOS 画面の温度目標
        • 冬場:どの部位でも35 ℃ 未満
        • 夏場:どの部位でも45 ℃ 未満
      • OS アイドル時での温度目標
        • 冬場:どの部位でも30 ℃ 未満
        • 夏場:どの部位でも35 ℃ 未満
    • PSU 排熱孔
      • BIOS 画面
        • 冬場は 30 〜 40 ℃ 未満
        • 夏場は 35 〜 45 ℃ 未満
      • OS アイドル時
        • 冬場は室温 + 5 〜 10 ℃ 未満かつ 30 ℃ 未満
        • 夏場は室温 + 5 〜 10 ℃ 未満かつ 35 ℃ 未満

マザーボード温度は大体の製品で表示されるのですが、 どの部位を計測しているのかは判然としません。

VRM 温度は一部の OC 用 M/B ではモニター項目あるのですが、 ヒートシンクのついていないコンデンサーなど 経年劣化・高温で劣化加速する部品の温度も評価すべきです。

なので 可能な限り 3 番の放射温度計での計測をおすすめします

詳細は後述しています。

コア数と全コア負荷時の温度評価

上述例は基本的に 4 コアまでと考えてください。

8 コア以上の SKU では流石に厳しくなります。

ただそれでも連続稼働時にあらゆる温度は 60 ℃ を下回るのが理想です。

仮想 CPU を基準としたアンダークロック例

Intel Core 系 と AMD Ryzen を軸に表にまとめてみました。

詳細な理由などは 以前のアンダークロック記事 をご覧ください。

各論的に以下に表にまとめます。

Note

大雑把に「上が標準例、下になるほどアンダークロックしまくる」記載例です。

Intel Core SKU

基本戦略は「Boost の上限を調整する」ことです。

  • 1 コア負荷のみのシングルスレッド性能は高めに維持します。
  • 複数コア負荷時は電力急増回避と発熱低下のために一気に制限します。

Boost がない場合や Off にする場合では全コアでのアンダークロックになるので、 標準出荷状態から 1 〜 2 程度コアレシオを下げる感じですが、 性能の体感の塩梅になります。

CPU Boost ON/Off コアレシオ例 コメント・その他
Intel Core 系 Boost あり ON [38, 37, 37, 36] サンプル
Intel Core 系 Boost あり ON [37, 36, 34, 34] AVX オフセット -6
Intel Core 系 Boost あり ON [37, 34, 34, 34] AVX オフセット -6

ただしすべての Core SKU が Boost 機能を持っているわけでもありません。

CPU Boost ON/Off コアレシオ例 コメント・その他
Intel Core 系 Boost なし N/A [37, 37, 37, 37] サンプル
Intel Core 系 Boost なし N/A [36, 36, 36, 36] AVX オフセット -6

どの程度までアンダークロックするかは、 前述通りに BIOS 画面での温度と Vcore 1.1 V 未満が基準です。

Intel アンロック SKU (K) の場合

戦略が別れます。

  1. 性能を高めに、アンダークロックでの低消費低発熱は若干妥協する。
    • Boost ある SKU は シングルスレッド性能を最大限に狙い、複数負荷で下げる。
    • Boost なしの SKU もあるので注意です。
  2. K を電圧に関して優等生としてアンダークロックして消費電力と発熱を下げる。
    • もともとの性能が高いので、それでも標準 SKU に比べれば比較的高性能にはなります。

性能高めの場合は BIOS 画面での Vcore は 1.2 V 程度まで許容します。 適切な CPU クーラーとグリスを利用すれば、それでも温度はそうそう 40 ℃ は超えません。

CPU Boost ON/Off コアレシオ例 コメント・その他
Intel Core K Boost あり ON [46, 44, 44, 42] サンプル
Intel Core K Boost あり ON [44, 44, 42, 42] Boost での性能優先例
Intel Core K Boost あり ON [44, 42, 42, 42] AVX オフセット -6

Boost ない SKU の場合は全コアでアンダークロックすることになります。

CPU Boost ON/Off コアレシオ例 コメント・その他
Intel Core K Boost なし N/A [40, 40, 40, 40] サンプル
Intel Core K Boost なし N/A [37, 37, 37, 37] AVX オフセット -6

K アンロック SKU では GT コアレシオも僅かに高めなので、 1000 〜 1100 MHz を上限とするような調整もしていいかもしれません。

Attention!

元記事に記載しているように、K ですら個体差というものは結構あります。

sumikko.tokyo でもハズレ K を引いたことはあり、 BIOS 初期設定の定格クロックで Vcore 1.4 V 超えていました。

K にせよそうでないにせよ定格での Vcore が高い個体は要注意です。

Intel Pentium (and/or Celeron) G

2 コア SKU が基本になり、動作周波数も比較的低いので 本質的にアンダークロック不要です。

  • Pentium は比較的電圧優秀で、2 コアでもありアンダークロック不要です。
    • タイトルにもあるように G や Gold 系の Pentium のみの話です。
  • Celeron は M/B テストや DRAM テスト用途と割り切ってます。
    • そもそも周波数が 3 GHz 以下が多いですし、キャッシュ容量も少ないです。
    • Pentium SKU のなりそこない、製品としては出荷可能というイメージです。

問題は、Pentium も Celeron も J や N といった、 マイクロアーキテクチャが異なる SKU (Apollo Lake など)が多数あることです。

  • 同一周波数での性能はもちろん異なりますし、そもそも用途が異なります。
  • ただ「安価なノート PC」などで用いられていることも多いので、厄介なのです。
CPU Boost ON/Off コアレシオ例 コメント・その他
Pentium G 系 Boost なし N/A なし アンダークロック不要
Pentium 非 G 系 Boost あり ON N/A サンプル
Pentium 非 G 系 Boost あり Off N/A やるとして Boost Off

Note

Pentium G や Pentium Gold は性能・消費電力・発熱は比較的良好です。

ただ Pentium は CPU 機能が Core 系と比較して削減されている点にはご注意ください。

一方で Celeron G は 性能も用途によっては許容できますが、かなり厳しいです。

最低ランクの SKU について

どの CPU の SKU にも最低ランクがあります。

Intel Core 系列では Celeron G がそれです。AMD なら Athlon 200G とか。

ハイエンドで 4 〜 6 もの DRAM チャネルを持つ Intel Core-X などでもそういう SKU (4 コア デュアルチャネルとか) があり、 性能と値段だけで考えると理解に苦しむかも知れません。

それらは M/B 検証や DRAM 検証に用いるものと割り切ったがいいでしょう。

AMD Ryzen 系

AMD Ryzen のアンダークロックは「Boost を切る」から始めます。

逆に Boost ON のままではアンダークロックしても BIOS 画面での Vcc は 比較的高い印象で、やるなら Boost Off とセットという感じです。 当たり個体だったら Boost Off にしただけで十分になることはあります。

Ryzen ではアンダークロックする場合は、値の設定値の模索がちょっと面倒でもあります。

  • 以下のコアレシオ値は 実際に設定する値ではありません
  • 調整後のクロック数の 100 分の 1 をサンプル的に記載しています。
CPU Boost ON/Off コアレシオ例 コメント・その他
AMD Ryzen Boost あり ON [37, 36, 36, 36] サンプル
AMD Ryzen Boost あり Off [34, 34, 34, 34] Vcc 低い当たり CPU
AMD Ryzen Boost あり Off [32, 32, 32, 32] Pstate0 のみ

Ryzen アンダークロックの注意点

Pstate0 だけ をアンダークロックします。

それ以外も設定すると、原因は特定できていませんが 体感できるほど一気に性能が落ちる印象です。

AMD の Boost はアンダークロック用途には不向き

Intel と比べて AMD Ryzen の Boost はあまりアンダークロックに 便利には使えません。

Boost Off が最低ライン、更に Pstate0 をアンダークロックという感じでも、 Intel Core 系 と比べて CPU シングルスレッド性能は低めで 発熱は依然として高めという印象です。

sumikko.tokyo では AMD CPU はもはやゲーミング PC や 次世代ゲーミングコンソールのための SKU とみなしています。

その他の CPU の場合

Intel Core-X や AMD Threadripper などは、 それを用いる段階で性能が優先されるわけで、 アンダークロックより強力な冷却を優先して本来の性能で使うべきと考えています。

またそういった SKU はあまり自作向きというものでもなく、 非常に高価な構成になるので BTO などで 5 年保証などを組み合わせたほうがいいでしょう。

ノート PC 用の Intel SKU には Y などの低消費 SKU などがありますが、 そもそも自作には縁が乏しい(一部ベアボーンキットを除く)のと、 いじることができない場合が大半(M/B オンボード CPU とか)なので割愛します。

デスクトップ向け SKU でも T という低消費版がありますが、 主に密閉エンクロージャーや屋外など業務用途に使うものです。 アンダークロックの代わりにそれらを使ってもいいでしょうが、 値段と流通量が問題になります。

前述しましたが Intel Pentium と Celeron はアンダークロックの対象外です。

アンダークロックに適した SKU の例示

sumikko.tokyo としてはこれらを包括して、 2020 年以降の新規調達分を次の優先順で考えています。

  1. Intel Core Boost ありの SKU (4 〜 6 コア)
    • できるだけベース周波数は低く Boost 周波数の高い個体を選ぶ。
      • Boost 上限コアレシオ設定でのアンダークロックで運用する。
    • マルチコア性能はあまり求めていない。
      • Microsoft Windows 10 の Update 中も遅くさせないための選択。
  2. Intel Core のブーストなし SKU や Pentium Gold
    • 全コアでアンダークロックかストック状態での利用向け。
  3. Intel Core その他の 4 コア以上の SKU
    • マルチコア性能や並列性能検証が必要なマシン用として。
      • 全コアが同一周波数で動くのは特に並列性能検証には便利なため。
      • 場合によってはアンロック K SKU をアンダークロックする。
    • アンダークロックしてもなおやや高めの発熱用途のため、冷却に力を。
  4. AMD Ryzen 2000G / 3000G (4 コア APU 14 nm プロセスルール)
    • 使うとして Microsoft Windows 10 で。
    • 積極的に選ぶというより、M/B 含めたそのときの流通性次第で選択する。
  5. AMD Ryzen と dGPU
    • どうしても 8 コア以上の並列処理検証を安めに組む場合くらい。
    • 思い切り全コアアンダークロックしてとにかく発熱対策する。

全部必要というわけではないのであくまで参考です。

その他は用途が確定している場合に利用する予定。

便利な道具 放射温度計

放射温度計がすごく役に立ちます

接触する必要なく、スポットで温度をかんたんに一瞬で測定可能です。

BIOS 画面などでは CPU 温度やチップセット温度、 各マザーボードで定点にあるセンサーの温度は大体わかります。

しかし M/B のいろいろな部位や PSU の排熱などは測定しないとわかりません。

放射温度計を用いれば、負荷時に高温になりがちな EATX 12 V 周辺から VRM、チョークコイル、そして CPU 周囲コンデンサー のいずれも接触することなしに検温できます。

また PSU の排熱評価にも便利です。

吸気がエンクロージャーボトムなら排熱だけで評価すればいいですが、 内部エアフローを利用する(CPU などの冷却に使われた温風が混ざる)場合は 吸気口温度と排気口温度を評価して差分を検討すべきでしょう。

放射温度計の入手性

シンワ測定などが 3,000 円から 5,000 円程度で販売しています。 検温範囲のレーザー付きで便利ですし、Amazon.co.jp などで入手できます。

なぜ M/B の検温をすべきか

最大の問題は CPU 周囲の電解コンデンサーです。

  • 電解コンデンサーは化学的変性による劣化があります。 高品質な製品でも 105 ℃ で一年程度の寿命とされます。
  • 高級 M/B では全固体コンデンサーなどが利用されていますが、 すべてがそうなのかまでは不明です。

一方でそういった化学変性は熱による加速が主なため、 詳細な式や原理は省いて大雑把にいうと 10 ℃ 下げると 寿命が倍増します。

105 ℃ 想定の製品では 50 ℃ 上限の運用なら 2 の 5 乗、 32 倍の寿命が想定できるので実質的に心配なくなります。

化学変性による経年劣化は進みはしますが、 システムに悪影響を及ぼすまでに 5 年はかかると推測します。

検温してみる部位と冷却について

半導体チップや小型のセラミックコンデンサ (MLCC) は あまり寿命を意識するほどの運用は通常はないです。

問題となる要冷却部位は、

  1. CPU 周囲のコンデンサー
    • 上述の通り、特に電解コンデンサーの場合は冷却必須です。
    • 50 ℃ 超えているような運用は数年で動作不安定などを覚悟しましょう。
  2. VRM と チョークコイル と EATX 12 V コネクタ付近
    • 発熱はしますがそれほど寿命に直結する印象でもないですが、 コンデンサーが近接して並ぶ部位なので重要になります。
  3. M.2 スロット 周囲
    • M.2 NVMe はヒートシンクない場合、最悪 80 ℃ をすぐ超えます。
      • サーマルパッドを挟んでヒートシンクをつけるのは最低限です。
      • エアフローが冷却の要です。熱放射は期待できるほどではありません。
    • トップフロー空冷 CPU ファンの場合、 CPU の温度で温かいエアフローになります。
      • なので CPU アンダークロックの一大理由です。
    • PCI スロットの下に位置する M/B で dGPU を使えば GPU の発熱による温風になります。
      • 方法1) NVMe の位置を変える、PCI スロット別製品に取り付けるなど。
      • 方法2) エンクロージャー内に排熱しない GPU カードを利用する。
      • 方法3) GPU もアンダークロックする。
  4. PSU の排熱
    • 高負荷をかけている用途中に 40 ℃ 超えているようなら 要注意です。
    • ただ PSU は互換性のある製品が多数で交換も容易なので、 ある意味静音性を優先して壊れたら交換すればいいでしょう。

M/B 冷却が重要な理由

M/B を軸に問題視しているのは、主に二つの理由です。

  1. 単に M/B 交換が手間だから。ほぼ全分解・再構築になります。
  2. 交換用の互換性のある M/B が手元にないとき入手できないかも。
    • 2020 年の今や Intel 200 系列の M/B は 新品で正規流通ルートで個人が買うのは難しいです。
    • AMD AM4 M/B にしてもいつ互換性がないものに 変わるかわかったものではありません。

Intel は 300 系で 6 コア以上サポートのために 形状は同じながら電源配線を変えて後方互換製をなくしました。

AMD も Threadripper 用の TR4 を安易に変更してしまった 悪例を作ったと感じています。

マルチコアによるベンチマークスコア営業戦略が続く限り、 数年後には電源配線などの変更必要性から Intel も AMD も 対応チップセットが変わることは覚悟すべきでしょう。

M/B 冷却の戦略例

エンクロージャー形態と換気設計、 CPU 冷却系が水冷か空冷か、 空冷ではトップフローかサイドフローかで多岐に渡るので 大雑把に重要だと思う点のみ記載します。

冷やしたいのはとにかく CPU 周囲のコンデンサー です。

  • トップフロー空冷 CPU ファンでは CPU 冷却後の温風ですし、 サイドフロー空冷では巻き込みエアフローくらいしか期待できません。
  • 水冷の場合はラジエーターがケース上にあれば全体的に排熱しますが、 理想的には CPU クーラーに 8 cm なりつけて周囲にエアフローを 作るべきでしょう(そういうファン付きの製品も販売されました)。

理想的な M/B の CPU 周囲部品の冷却は、

  1. エンクロージャー全体のエアフローを意識する(冷風を入れ排熱する)。
  2. 特にケース後方で 上方向 へのファンによる排熱をする。
  3. 水冷空冷ともに CPU 周囲に熱溜まりを作らないようファンを増設する。

意外と 4 cm 小型ファンは便利です。

各種ファンの大雑把な設定について

よほど廉価な M/B や冷却ファンでない限り、 CPU 温度に基づいて細かい回転数調整ができます。

注意点として、

  • PWM では最低回転数が高いファンではアイドル時騒音が問題に。
    • 購入前に最低回転数とその時の騒音値は確認しましょう。
  • DC 3 pin ファンは M/B でキャリブレーションを。
    • 実行しない場合・できない場合、だいたい最低 60 % になりうるさい。
    • また電圧調整が可変抵抗で実装されている場合、そこが熱源になる。
  • いずれにしても 30 ℃ までは低めで、60 ℃ で全開に。
    • 段階的にどう回転数を上げるかは日常用途での騒音と塩梅に。
    • 全開でも 50 ℃ 以上に上がっていくなら冷却設計に難ありかと。

ASUS や ASRock では DC はキャリブレーションすれば 大体の製品で気にならないレベルまで低回転に設定できました。

MSI の M/B ではさらに容易に DC も低回転設定にできる印象です。

Fan Off が可能な M/B もあります。 CPU ファンと後方排気ファンを除いて、 20 ℃ レベルでは一部は Off にしてファン自体の寿命も延命してもいいでしょう。

いずれにせよ製品紹介でファンコンにどう言及しているかは、 購入前に調べるべきでしょう。

意外な落とし穴「設置場所」

PC からの排熱孔からでた温風が周囲にこもっていたら意味ないです。

  • 排熱を吸気していたらアウト。
  • PC 設置場所は 周囲に 10 cm は空間を作りましょう。

またデスクトップを床に置くのは他の点でも推奨しません。

  • 吸気に細かな粉じんが 床上 30 cm では入ってしまいます。
    • フィルターがあってもそこまで目が細かくありません。
    • またティッシュ箱などからは細かいホコリが舞ってます。
  • 特に机の下は最悪です。精密機械を蹴っ飛ばすリスクが高すぎます。
  • 部屋に虫がいる場合、温かいために集まってしまうことがあります。

バグの語源は初期のコンピューターに入り込んだ羽虫と言われています。 壊れるだけでも財務的ショックなのに、 精神的ショックまでおまけになってしまいます。

PC はある程度高くてかつ安定した台の上に、周囲を空けて置きましょう。

まとめ

  • アンダークロックの戦略は Boost の有無で大きく変わる。
    • Boost ありならシングルコア負荷は高め、マルチコア負荷で低めに。
    • Boost なしなら全コアアンダークロックとなる。
  • 電圧はいじらない。
    • BIOS が自動調整した結果 1.1 V 以下の Vcore を目標にする。
  • 放射温度計を活用して各部位の温度を確認する。
    • 小型スリム筐体であるほど重要に。
    • とにかく EATX 12 V から VRM、コイル、コンデンサーを冷却する。
    • 大型ケースなら後方上方での排熱設計を検討すべき。
    • 水冷 CPU クーラーでは CPU 周囲の熱溜まりに注意する。

夏場を乗り切る低発熱・高冷却な PC を目指しましょう。

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