sumikko.tokyo

CPUアンダークロック

市販 PC と違う PC 自作の良い点の1つに、 マザーボードの BIOS 設定が 結構つっこんだことまでできることがあります。

それを活用して、長期的な安定性を向上させようという狙いです。

「電圧いじり」などの注意点は別記事に分けました。 右上の矢印や最下部の「すすむ」で繋がってます。

Rev 2020-03-11

Intel Core-i3 8350K / Z390 (ASUS) 検証結果の追加 (アンロック CPU 例として)。

温度関係など若干加筆修正しています。

ご注意

長いしマニアックなのでスルー推奨記事です。

これやるとメーカーサポート怪しくなりかねません。

すこし加筆修正しました。大雑把には変わりないです。

Note

ちなみに「ダウンクロック」では ない です。

"over" の逆は "under" で、"down" は "up" との関係です。

CPU クロック、あげないでなぜ下げる?

sumikko.tokyo では CPU クロックを 下げます

普通(?)はクロックを上げて、CPU への電圧供給を微調整して、 冷却に力を入れて、ベンチマークスコアを競ったり、 ゲーム性能を上げたりするものようですが、真逆をやります。

ただし ごくわずか です。100〜200 MHz くらいです。

アンダークロックの利点

  1. 負荷時の CPU 温度、消費電力が下がります。アイドル時には大差ないです。
  2. EATX 12V から CPU 周囲の回路までの高負荷時温度が下がります。
  3. M.2 の NVMe や SSD を使っている場合、冷却しやすくなる可能性がでてきます。

特に 2 と 3 が決め手です。

大体 M.2 スロットへのエアフローは CPU と 周辺コンデンサーや VRM の冷却に使われたあったかーい空気です。

それを使って 80 ℃以上になりかねない小指ほどの NVMe を冷やすのは不利です。

また CPU 周囲の回路にある電子部品のうち、 特に電解コンデンサーは経年劣化が高温では早まります。

アンダークロックの欠点

下げる程度によりますが、200 MHz 程度なら体感では性能差は感じません。

  • ベンチマークスコアは下がります。モチベーションも下がるならやめるが吉です。
  • ゲームなどで CPU 使用率が常時 100 % なら、 FPS の低下などで不利になりえます。
    • 想像でしかないですけど、CPU 負荷が 80 % 以下なら検討可じゃないかな。
    • PC ゲームの FPS 値は、だいたいボトルネックは CPU ではなく、GPU 性能です。
    • PC ゲームのローディング時間は、大雑把にいって SSD や NVMe で改善します。

アンダークロックの方法

!DANGER!

これらの設定は BIOS を操作するものです。

間違えると起動しなくなったり、 PC の部品が故障したり、最悪の場合火災になる危険性があります。

不用意に行わないで、行う場合も十分に注意してください。

まず前提がいくつかあります。

  • 自作 PC かパソコンショップの BTO マシンやゲーミング PC などの必要が多分あります。
  • 市販デスクトップマシンやノートパソコンで、該当する BIOS 設定項目は多分ありません。
  • 自作などの場合でも、ゲーミングマザーボードなどでないと設定項目ないかも。

BIOS の設定の要点

アンダークロックにおける BIOS 設定は比較的かんたんです。

Intel CPU の場合は、コアレシオ "Core Ratio" を下げます。1 〜 2 程度で十分です。

  • マザーボード (M/B) によっては規格以下に下げることができません。
    • コア全部を下げるかコア毎にやるかのオプションでも可否が変動する傾向です。
    • BCLK を 100 MHz (Intel) or 200 MHz (AMD) から下げるのは推奨しません。
      • メモリや PCI 関連も関わるので自動でやってくれないマザーボードではやめましょう。
  • Boost の上限を抑える設定で実質的なアンダークロックにもなります。
    • Boost 依存の SKU でない (非 Boost クロックが 3 GHz 以上) なら Off も手です。
    • マルチコア CPU では Boost 依存の性能という製品が目立ちます (冷えない = 速くない)。

参考例

アンダークロックが可能か、どうやればいいかは、製品次第です。

同じメーカーでも製品ごとに BIOS 設定可能項目は違ったりします。

Hint

M/B メーカーサイトで「各商品の BIOS マニュアル」をまずはご確認ください。

運がいいと記載があるかもしれません。経験上、ほぼないですが。

Intel系

  • MSI ゲーミング M/B (Intel B250)
    • ベース以下にもコアレシオを下げられましたが、全コアでのみでした。
  • ASUS OC 対応 M/B (Intel Z270)
    • Per Core ではベース以下は無理でした。Sync All Core では可能でした。
    • TurboBoost 対応の CPU 載せているので、性能と発熱のバランス的に 1 コアだけを TurboBoost - 100 MHz に、残りをベースクロックに上限設定しました。
  • ASUS 標準 M/B (Intel Z390)
    • Sync All Core ならベースクロック以下に下げれました。Per Core では無理な様子。
    • アンロック SKU 例として Core i3-8350K を 3.7 GHz で運用してます。
      • (用途的に重要でないため) AVX オフセット は -6 に下げています。
      • BIOS 画面で CPU 温度 30 ℃付近、Vcore 1.1 V 弱になってます。
    • K アンロック SKU と Boost 有無の注意点について。
      • 8350K には Boost がありません。
      • シングルスレッド性能を維持してマルチコア負荷時のアンダークロック性を高めたいなら、 Boost ありの SKU で1 コア時のみ高く複数コア負荷で一気に落とすのがいいかも。
  • ASRock 標準 M/B (Intel H110)
    • Pentium さんが乗ってますが普通に Vcore 1 V 程度なのでそのままです。
    • 電圧はいじれるのですがコアレシオ項目はなし。
    • Pentium だからなのか H110 という廉価版 M/B だからなのか不明です。
  • ASRock 特殊用途 M/B (Intel Gemini Lake SoC オンボード)
    • コアレシオいじれませんでした。TurboBoost だけ OFF にして運用してます。
    • ところでファンレスと巷で言われるこのボードですが、CPUファンピンヘッダーはあり、 sumikko.tokyo では CPU ファンステイを用いてエアフローを作ってます。
  • GIGABYTE、Supermicro、EVGA、その他
    • 試してません。ありません。
    • 入手性から試すとして GIGABYTE ですが、当面予定はありません。

AMD 系

AMD Ryzen CPU の場合はコアクロックは 200 MHz を基本に掛け算と割り算で行います。

具体的にはマザーボードによって名称が異なったりするので、各自で調べてください。

  • 大雑把にいって AMD CBS -> ZEN あたりにあったり。
  • P-state0 だけ を下げましょう。それ以降も下げると性能も大幅ダウンします。
    • いじるのは FID と DID だけです。VID は電圧関与なので標準のまま。

Ryzen なら Boost を Off にするだけでも十分です。むしろチップセットが発熱します。

  • ASRock 標準 M/B (AMD A320)
    • Ryzen 2200G を試しただけです。コアごとにはできませんでした。
    • アンダークロックなためか、B450 とかでなくても可能ぽい。
    • BIOS 画面ではメーカーサポートなくなるよ、との警告と同意確認が出ます。
  • その他
    • 試してません。ZEN 2 含めて予定はありません。

目標クロック値とコア電圧

目標クロックは「市販 CPU の記載ベースクロック - 100 MHz」かつ「その値が 3 GHz 以上」あたりです。

発熱低減・諸費電力低下の効果はそれなりに出て、 体感ではわからない程度の性能低下に留まります。

そもそもの目標、低消費低発熱の目安としては、 ものすごく大雑把にいって、アンダークロック的なことをやった結果、 BIOS 画面での CPU コア電圧が 1.1 V 以下になる感じです。

結果として CPU 周辺コンデンサー発熱と VRM 発熱も下がるので、 近隣 M.2 スロットへのエアフローは負荷時でも温風が緩和します。

目標値の大雑把な理由

BIOS 画面では規定クロックで CPU は回り続けます。

その状況でコア電圧が 1.0 V 程度に BIOS 側で調整されていればよいな、的な。

ただ、コア電圧のネガティブオフセットとかで無理やり下げるのではなく、 あくまでアンダークロックによって自動的に下がる前提です

ややこしいな。やはりスルー推奨記事ですね。

Hint

-200 MHz あたりまで攻めても(ゆるめても?)、 正直ゲームでもやらなければわからない程度です。想像ですけど。

むしろ HDD から SSD への以降が起動速度や体感速度にはすごく影響します。

AMD Ryzen 系の参考例

  1. AMD Ryzen 2200G はベース 3.5 GHz、Ryzen 7 2700 では 3.2 GHz です。
  2. 2200G を 3.2 GHz にすると大雑把に 0.3 V 程度下がりました。ちょうど 1.0 Vになる感じ。
  3. その値は実は Athlon 200GE と同じですが、そんだけあればサクサクです。

Note

ただ CPU の Vcore は個体差が結構あります

運が悪いと Intel でも AMD でも BIOS 画面で 1.4 V とか恐ろしい数になります。

低周波数 CPU を選ばない理由

Attention!

ここの記載は sumikko.tokyo の想像です。実際はもっと複雑でしょう。

上述しているように CPU の Vcore (出荷状態での規定の電圧)は個体差があります。

  • メーカーは低電圧でも高クロックで動くチップを選別し上位 SKU で出荷します。
    • 「設計書通り」で「実テストでも優秀」なら上位 CPU の SKU やアンロック SKU です。
    • 部分的に機能が欠落・キャッシュ容量不足なら Core i5-8400 みたいな中間 SKU 的な。
    • AMD だと 4 コアのはずが 2 コアしか動かないのを混ぜて 4 + 2 で 6 コア構成にしてたり。
  • 結果として、下位 SKU には比較的 Vcore が高めな個体が多くなります。
    • 多くは「致命的ではない問題」がある個体です。HT/SMT 機能なしとかキャッシュ容量とか。
    • 運がよいと「電圧に関しても問題ない個体」かもしれません。Pentium Gold G5600 とか。
    • 低めの動作周波数をギリギリの電圧でなんとかやっている可能性が高い印象です。

なので、予算範囲で買えるいい CPU を買ってアンダークロックすることで、 比較的高性能で低消費電力の環境が期待できるかな、という感じです。

Intel の T モデルは入手性とその周波数の下がりっぷりの凄さから対象外にしてます。

BIOS でのクロック調整の注意点

Warning

調整するのは「コアレシオ」です。クロックをその項目に入れてはなりません。

「オーバークロック」になっていないようにも十分注意しましょう。

Intel CPU では基本クロック 100 MHz * コアレシオが動作周波数になります。

  • 市販品のカタログでの 3.5 GHz = 基本クロック 100 MHz * コアレシオ35 なわけです。
  • CPU コア以外にもリングレシオや GT レシオ(内蔵ビデオ)も調整できることがあります。
    • リングレシオは触れないが吉です。
    • GT レシオはほぼ体感もVcc低下も認められないレベルです。
    • 要するに「どっちも触れないでいい」かと思います。
  • AVX Offset はそのままでもいいですが、発熱対策には効きます。
    • リアルタイム性のあるゲーム用途や AR/MR/VR 用途でないなら検討していいかも。

AMD CPU の場合は、AMD モードとマザーボードベンダーモードで名前が変わりますが、 基本的に大差ありません。

  • ただ Ryzen では掛け算と割り算の組み合わせで、 基本クロックが 200 MHz になります。
  • 例としてRyzen 3 2200G なら 3.5 Hz が基本クロックですが、 この数値を出すのに使う 200 * X / Y の X と Y を調整するわけです。

そこらへんの細かいとこは各製品のマニュアルをご覧になってください。

AMD の名称、各マザーボードメーカーの BIOS 画面での名称は多様です。

参考

CPUのネタ元

Intelは以前も紹介した https://ark.intel.com/ です。

あとマニアックなサイトとして、WikiChip があります。一部のCPUはTurbo時のコア数とTurboクロックが記載されています。

まとめ

  • CPU をアンダークロックすることで発熱低下と消費電力削減が期待できる。
    • CPU 単体だけでなく、周辺電源回路の温度も下がるし、電力変動幅も減る。
    • CPU に近い M.2 NVMe/SSD の温度低下も期待できる。
  • 全体的に、部品・システムの寿命長期化が期待できる。

Note

温度を 10 度下げるごとに製品寿命は飛躍的に伸びます。

電源ユニットのコンデンサに関して PSU capacitor life なりでぐぐるとよいです。

おまけ

温度目標も挙げておきます。

Note

CPU も NVMe/SSD も、大雑把に 「アイドル時に室温 + 5〜10 ℃」で「最大負荷で一瞬だけでも 80 ℃未満」、 かつ「最大負荷継続で冷却全開になった後では 60 ℃未満」が理想的です。

アンダークロックしてる sumikko.tokyo の CPU たちは 全コアフルロードでもだいたい 50 ℃超えることはありません。

ご一読頂きありがとうございました。長くてごめんなさい。

故障と動作不安定性から縁のない PC ライフを。

Published: (Modified: )